建築家といえば、師匠のもとで修業をしてキャリアを形成していく人が多い。誰々さんは誰々さんの弟子だ、ということがなんとなく意識され、たとえば、そのさまは「建築家山脈」(村松貞次郎)などと呼ばれた。
一方で逆説的に、独学の建築家も注目される。師匠がいる世界だからこそ、師匠がいないことが際立つ。しかしそれだけではない。今回は、また別の第3のキャリアとして、組織設計事務所や建設会社などの大きな企業で設計を学んだ建築家たちを特集する。
組織では個人住宅を設計することがあまりないため、大型の建築に手慣れていくなどの特徴があるだろうか。しかし、独立してからは住宅も設計するだろう。組織のノウハウでもって、小さな建築をつくるとどうなるか。すぐれたものが出てきている。そんな建築家のキャリアに注目していく。
表紙/「出窓の塔居」のアプローチ。
表紙撮影/藤塚光政
2023年4月1日発行