- 入賞作品発表
- 審査員コメント
今回は応募総数16,101句もの応募をいただきました。その中から、「おしりだって洗ってほしい」のコピーライター仲畑貴志氏に選考いただき、最優秀賞(1句)・環境賞(1句)・キッズ賞(4句)・優秀賞(14句)・佳作賞(30句)が決定しましたのでご紹介します。
コピーライター仲畑貴志氏
TOTOトイレ川柳も5回目となりました。
つづけると、やはり深まるものなのでしょうか。今年のトイレ川柳5回記念賞は素晴しい。
『いいですね大小ありに上下なし』という「ヘイさん」さんの句。
トイレと自分との関係にとどまらず、なんと人間関係、さらに大げさに言えば人権意識にまで飛躍した句が生まれました。
それも、スローガンのように高所からの表現ではなく、ユーモアセンスにくるんだ表現です。社会の「上下」に対して、あの「大小」なのですから。
もとより、トイレという存在は威張っていない。日々、私たちの生活を、あれだけ支えながらも端然と、いつもそこにある。気どった者や、傲慢や、虚飾を笑うという川柳のスタンスからすると、トイレ川柳はその出発点において、すでにメインストリームなのです。
またキッズ賞では、『トイレまで走って走って行ったんだ』という句が目を惹きました。
この緊迫感はレトリックからは生まれません。言語化する前の、胸にある思いや想いを映した表現にはかないません。
そして、「川柳という表現は、説明ではない」という、基本をもう一度教えられました。
ありがとう。
仲畑貴志