過去の入賞句

 
 

トイレ川柳大賞第3回

 

選考内容について

第3回 トイレ川柳に、クスッと笑ってしまう「面白川柳(おもしろせんりゅう)」やほんの小さなスペースに過ぎないトイレが、日常生活のなかで重要な役割を担っていることがわかる句など、たくさんの句が寄せられました。
過去2回を上回る応募総数16,334句の中から選ばれた90周年記念賞作品(1句)、キッズ賞作品(4句)、優秀賞作品(1句)、佳作賞作品(30句)をご紹介します。

審査員コメント

コピーライター仲畑貴志氏

日常こそ人生ですから、そこに材をとり、読み手の心を動かすことができれば一等賞なのです。
ご不浄がトイレになって、ずいぶん清潔で快適になりました。いまや、こうして川柳のテーマとして取り上げても、なんら抵抗を感じない存在になったわけですね。ごらんのように、今回もレベルの高い作品が集まりました。
川柳は人事をテーマとするものですから、一生を通じ日々お世話になるトイレは格好の素材となります。また、便所やトイレと聞いてシリアスな表情になる人は少ないように思う。実に人間的な、実に気取りの無いその存在は、川柳を成立させる重要なファクターである諧謔(かいぎゃく)に通じるものであります。
最優秀賞は、そのユーモアセンスが卓抜なゆえに選ばれました。トイレ川柳における「紙が無い」ネタは、古典的に過ぎるし、平凡です。しかし、そんな誰もが一度は耳にしたようなネタでも表現力によって秀逸となる好例。人はみなさまざまな欲望を持って生きていますが、そんな欲求をすべて押しのけ、このときばかりは「何もいらない」といわしめる、その存在がたった数枚の紙であるという結末の鮮やかさ。表現というと、何か崇高な、もしくは深遠なものに向かいがちですが、日常こそ人生ですから、そこに材をとり、読み手の心を動かすことが出来れば一等賞なのです。
さて、新設のキッズ賞には脱帽しました。見る、感じるということにおいて、子ども達は大人に引けを取りません。ただ、表現技術が伴わないだけのことで、その低い目線ならではの切り取りがあります。これからも期待ください。
今回は、第1回第2回を上回る16,334句もの応募を頂きました。ありがとう。 仲畑貴志