環境
TOTOインド工場が取り組む
生産改善
再利用や技術革新で、
資源を無駄にしない
ものづくりを
衛生陶器の原材料試験担当
インド工場では、どういった取り組みを通じて
SDGsに貢献していますか?
TOTOのインド工場は、インド北西部に位置するグジャラート州のハロルという場所にあります。主に壁掛け大便器の生産を行っており、インド国内だけでなくアメリカや欧州、アジア各国に製品を供給しています。私たちは2022年より、工場からの廃棄物を減らし資源を節約するために、2つの生産改善に取り組み始めました。
一つが、「廃棄釉薬の再利用」です。除塵機から出る釉薬や、釉薬の拭き取り時に収集される釉薬を廃棄せず、再び生産に活用するという取り組みです。ただ、収集された釉薬は水分値が40%以上あり、この状態では均一な混合や適切な固形分含有量の維持ができないなど、釉薬の取り扱いと再利用が困難です。そのため、私たちは回収した釉薬を乾燥させ、粉砕してから再利用するという方法を取ることにしました。
その結果、2023年1月からの実行1か月で29%の再利用に成功。現在では当初の目標だった再利用率80%を達成しています。これにより、SDGsゴール12「つくる責任 つかう責任」、15「陸の豊かさも守ろう」に貢献することができました。
廃棄釉薬を再利用する以外にも、
取り組んでいることはありますか?
もう一つ取り組んでいるのは、「修理不可能な不良品の削減」です。生産工程ではどうしても不具合のある製品が出てしまい、焼直しができない場合は廃棄せざるを得ませんでした。しかし焼直しの修正方法を工夫し、焼直し後の製品としての品質基準をクリアすることで、廃棄量を大幅に削減することに成功しました。
焼直し修正を行うため、最初は修正が必要な部分に釉薬修正剤を塗る方法を試しました。
しかし焼成後に釉薬の収縮が過度に起こるという問題に直面し、次に修正が必要な部分に収縮防止材料を塗布してから釉薬修正剤を塗る方法に変更しました。ところが今度は、釉薬修正剤と収縮防止材料の相性が合わず上手くいかないという問題が生じてしまいました。
私たちのチームは良質な収縮防止材料を開発するために多くの試行を行いましたが、しかしその甲斐あって、現在では不良品の廃棄量が取り組み以前の3分の1以下にまで削減できました。「釉薬の再利用」と同様にSDGsゴール12・15に貢献するだけでなく、廃棄分を作り直すための資源やエネルギーが節約できたことで13「気候変動に具体的な対策を」にもつながっています。
SDGsに貢献するプロジェクトに参加したことで、
意識の変化などはありましたか?
今回のプロジェクトに参加できたことを、私はとても誇らしく思っています。インド工場は、1トンの合格品を作るのに発生/使用するCO₂排出量・水使用量・汚泥排出量の少なさでは、TOTOの衛生陶器工場の中で2位に位置しています。これは、我々がカーボンニュートラルを達成するためにしっかりとSDGsに取り組んでいることを示しています。
私はTOTOに入社以来、健康で豊かな生活を提供するという社会的責任を果たす企業や社員たちの姿を目の当たりにしてきました。このことは私にとって、生活や文化を支えるような取り組みに向けて行動することへの、大きな動機付けとなっています。今後も継続的に研究開発を行い、さらなるSDGsの貢献に取り組んでいければと思います。