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トートー × マガジンハウス グリーンジャーナル
環境をとりまく問題にもっと敏感でありたい。そして、毎日の生活にエコを楽しく取り入れたい。環境をテーマに最前線で活躍するジャーナリストがいま注目すべきニュースやアクションをレポートします。
グリーンジャーナル VOL.8 オフィスがエコになると働く人もエコになる。
編集・ライター / 中村浩一郎さん
ライター / 中村浩一郎さん
ライター。山を走る自転車“マウンテンバイク”を使い、スポーツやフィットネスで変化する人体の不思議、野外遊びから教わる環境の仕組み、そして自転車と旅をする喜びを、ライターとしてライダーとして、執筆と実践を通して伝える。自転車旅ブランド《リンプロジェクト》のPRも行う。
メインイメージ
写真/柿澤りか

今どきのオフィスは、どんどんエコになっています。

新しい働き方、リノベーション、部署立ち上げ。すべてエコに真剣な企業の新しい取り組みです。

個人だけでなく、企業の活動としても環境に配慮するのが当たり前の時代です。いまや企業は、さまざまな活動を通して、環境保全へと取り組んでいます。そんな機運を、さらに一歩進めたのが、職場として環境へ配慮することです。オフィスがどれだけ環境に優しくなれるのか、環境保全へ真剣な企業は今、そこに取り組み始めています。ここでは、そんなエコオフィスの例を、いくつかご紹介していきましょう。

最新技術のエコオフィスでは、ガーデンオフィスに無線LAN。

【コクヨ エコライブオフィス品川】

まずは、今どきの最先端とも言えるエコなオフィスのご紹介です。伺ったのは、文具やデスク、イスなど、オフィスには欠かせない製品を作り、 快適なオフィス環境を考え続けるメーカー、コクヨの「エコライブオフィス品川」。ライブオフィスとは、社員が実際に働いている様子を見学できる、いわば生きたショールーム。コクヨのライブオフィスは全国にありますが、ここ東京・品川の「エコライブオフィス品川」がこだわっているはエコ。職場がいかに地球に優しくなれるのか、を実現しています。その特長は、下の3つです。

1.フリーアドレス

約140人が働くこの職場ですが、特定の職種をのぞき、ここでは基本的に社員の席は決まっていません。出社すると、コンピュータシステムがその日の席を割り当てます。席が決まっていないため、社員同士のコミュニケーションも、新鮮になります。人の交わりが活性化し、斬新なアイディアが生まれる可能性も増える、ということなのです。移動できるように自分の持ち物を少なくするようにもなります。

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オフィス内『フリーアドレス』の様子。席は毎日変わるので、持ち歩く荷物も必然的にすっきり。もちろんロッカーもあるので、荷物の多いあなたもご心配なく。天井には人感センサー付き空調とLED照明設備、外光も利用されます。

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毎朝、出社後はここで自分の席が割り振られます。しかもその単位は30分単位で、最大2時間まで。社員には、この一定時間内に集中して、ひとつのタスク(仕事)を終わらせる、という習慣が付いてきたそうです。

2.ガーデンオフィス

オフィスの外は、庭ではありません。 池があって、パラソルがあって、陽の光が注いで。それでもここは作業スペース「ガーデンオフィス」です。無線LANと電源を設置しているため、コンピュータを使う仕事も行えます。これは、気分転換、季節を肌で感じることに加え、「外にいる間に、○○をしよう」というタイム・マネジメントの意識も生むとも言います。

3.レスペーパー化

そしてレスペーパー化、無駄な紙を使うのを減らす取り組みです。プリントをする際には、少し面倒な認証が必要となり、むやみにプリントできないようになっています。その代わりに、さまざまな資料は本棚で共有し、オフィス内にはホワイトボードや、コンピュータにつなぐモニターが多く設置。会議などでは、これらを紙資料代わりに使うことが多いそうです。

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窓の外にはガーデンオフィス。電源、無線LAN完備。毛布もサングラスも用意されている全季節対応型オフィス。短時間に集中するにはもってこいの環境です。

こういった『新しい働き方』にくわえ、人感センサー付きLED照明、自然採光、自然換気を利用した空調システムなどといった、エネルギーの無駄をなくす設備システムを採用し、オフィス全体の消費電力を抑えています。
職場のよどみを解消し、仕事の生産性を上げる。加えて、無駄なモノを減らす。これらを実現することで、知的生産の質を上げ、結果としてオフィスの無駄な可動時間を減らした環境に配慮。コクヨの提案する最新型のエコオフィスとは、『設備』ではなく『新しい働き方』でした。 地球のことを考えたら、働く人のことを一番に考える職場になった、という良い例です。

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老舗ホテルの大改修は、屋上緑化とLEDでエネルギー大幅節減。

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1971年創業当時の様子。新宿新副都心の高層ビル街ですが、この頃、周囲に高いビルはありませんでした。

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窓の外にはガーデンオフィス。電源、無線LAN完備。毛布もサングラスも用意されている全季節対応型オフィス。短時間に集中するにはもってこいの環境です。

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京王プラザホテルの、エコ改修計画の目玉、『コンコードボールルーム』の様子。この大宴会場の天井は、白色光は全てLED。これで年間杉の木6700本分と同様のCO2削減効果があるようです。

【京王プラザホテル】

次は、老舗ホテルがエコになったという話。実はそこには、老舗ホテルならではの思い切りが必要でした。

京王プラザホテルは、1971年、 それまでは高層ビルなどなかった新宿の街に、初めての高層ホテルとして創業しました。2009年で38年目を迎えるこの巨大ホテルは、部屋数が1436。しかもその稼働率は平均で85%近くあると言いますから、少しずつ休ませて補修しても、なかなか改装は進みません。

そんな中、思い切った改修に臨んだのが、大宴会場『コンコードボードルーム』。著名な学会などがよく開かれるこの施設ですが、これを半年間休ませました。そして、せっかく改装するのなら環境に配慮した設備を、と、大きく生まれ変わりました。

まずは天井の照明。宴会場の照明には、いくつかの色合いの光を同時に使いますが、この白色系照明をLEDにしました。1年で杉の木にして6700本分と同じぐらいのCO2削減効果があるそうです。

これに加え、上のフロアを屋上緑化。超高層のビル風にも耐える『タマリュウ』という、芝刈りが不要な植物を植えています。この屋上緑化は、特に夏の室温を低く保つ効果があります。それを試算すると「7~9月の3カ月間、一日中8畳用ルームエアコン75台を運転し続けたぐらい」になるそうです。

また、京王プラザホテルは、企業としても環境保全活動を熱心に行っています。社内公募でチームを組み、さまざまな企画を組み、環境への取り組みを実施しています。これも、斬新なアイディアを積極的に取り入れるという京王プラザホテルの社風を表したものです、と広報の方は言っていました。何もなかった新宿という街の可能性を見出した京王プラザホテルは、次の進むべき方向を『エコ』に向けて捉えているようです。

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廃棄されるウォシュレットを回収して、再利用させるための部署があります。

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回収されたウォシュレットは、古いものでは10年~20年前の機種もあるそうです。

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回収された製品は、念入りに洗浄されたのちに、人の手で分解され、使用可能な箇所とそうでない部品に分別されます。

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分別している隣の部屋で、再生可能な部品を細かく粉砕します。これで再資源として利用できるプラスチック原料のできあがり。

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これが、そのプラスチックで作ったペンとテープのり。オフホワイトの部分が再生プラスチックです。社内のネット販売で、実際に販売しています。再生品を再び流通に乗せて初めて、本当の意味でのリサイクルになるのかもしれないですね。

【TOTO 茅ヶ崎工場】

こんどはひと味違った職場です。環境に配慮した仕事場、ではなく、仕事そのものが環境に配慮している、という一例です。

それがTOTO茅ヶ崎工場内、リサイクル研究グループ。廃棄された「ウォシュレット」を回収し、そのプラスチック部品から、再生可能なリサイクル・プラスチックを生み出す、という仕事をしています。

このウォシュレット・リサイクルの仕組みは、2000年にプロジェクトが立ち上がってから、5年という歳月をかけて実現しました。それまで、使用済みの温水洗浄便座は、特に首都圏ではそのほとんどがただ焼却されているだけでした。自社が作った製品には、それが消えるまでの責任がある、と考えるTOTOは、廃棄されたウォシュレットを回収して念入りに洗浄、分別、粉砕して、再生可能なプラスチック材へと変えています。この作業は、茅ヶ崎工場内で行われます。

その行程の中でも、最も大切で、大変な作業が分別です。再生できるものとできないものに分ける作業は、人がひとつひとつ手で分解して行っています。その方が、純度の高い再生プラスチック材としてリサイクルできるからです。

そして、その再生プラスチックを、文具メーカーとタッグを組み、文具として蘇らせています。しかもその再生した文具を、社内用のネット販売網を利用した社員たちが購入、使用しているのです。また文房具だけでなく、新しいウォシュレットの部品の一部としても再利用されてもいます。

リサイクルして再生させるだけでなく、その販売ルートまで確保し、再び生活の中に戻す。
ただ作ったという自己満足に終わることなく、リサイクルの輪の中に再生商品を取り込んでいく。職場の環境ではなく、職場そのものがエコ。これもひとつのエコオフィスなのです。

こういったエコな職場で働く人々は、それぞれの意識の中にも、エコへの気持ちが生まれてくるものなのでしょうか。次回、後編では、これらエコオフィスで実際に働く人々の心に、どんな環境配慮の意識が生まれているかを、お伝えします。

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<関連リンク>

1 2 エコなオフィスで働く人々のエコな意識。
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