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坂本一成


「住宅 ―日常の詩学」


'01年11月16日〜'02年2月2日

建物の空間をさまざまな枠組みから自由にしたいと思ってきた。未だ見ぬ自由な空間を求めてきた。こうした空間は、私たちの身体や精神をさまざまな拘束から解放させ、世界に通じることを可能にする。
その空間は、特別な所、特別な時にあるのではなく、日常のごく当たり前の所、持続する普通の時間のなかにある、と思ってきた。

身のまわりの空間は、私たちの身体と一体化して意識されることのない環境化した場を形成し、特に対象化されることのない何でもない空間となっている。こうした日常化した空間は、無意識のうちに私たちの身体や精神を沿わせ、従わせる枠組みを形成している。
この枠組みを形成している日常の隙間の奥に,もうひとつの日常が垣間見られないか。普通の、当たり前の日常の奥に、未だ見ぬ、さらなる自由な世界がある気がする。

特別でなく、極端でもない、何でもないオーディナリーな事物の配列・構成に、またこれらの構成要素の関係に、さらにそれらの組換えに、もうひとつの日常へ繋げる修辞としての詩学がある。この詩学のなかに、日常の空間が世界と関わる方法が見いだせないか。新しい空間の構成に、日常の枠組みを相対化あるいは解体する新たな世界が現れないだろうか。

こうした期待をもって、最も日常的な空間である住宅にもうひとつの日常を獲得することで、自由な空間としての建築を求めてきた。

坂本一成

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 撮影:ナカサ・アンド・パートナーズ
講演会 : 坂本一成講演会 「住宅 ― 日常の詩学」
      11月17日 建築会館ホール
空間術講座13:「建築を思考するディメンジョン ― 坂本一成との対話」
        12月4日〜1月29日 全6回


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