追悼「大江宏」展





'89年8月21日〜8月30日

 大江宏は,わが国の近代建築の揺籃期に建築を志し,孤高なまでに自己の生き方を守り通した建築家である.伝統と近代,客観性と合理性を巧みに混在併存させた建築は,気品に満ちて風格さえ感じる.この追悼展では,業績の年譜とともに,会場中央には大江自らの手による厨子が置かれ,その中に誕生仏が安置されている.そしてその厨子を保護するかのごとく,大きな木組みの外屋が設置されている.晩年の代表作「国立能楽堂」(1983)の柱頭を飾る一本の木組みが屋外に象徴的に置かれた,簡素ながら質実な会場構成である.
exhibition scene
 藤塚光政撮影


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