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難波和彦


「箱」の構築


'01年6月9日〜8月10日

 「箱」には閉じたイメージがある。しかし僕にとっての「箱」は、何もない空間が分化した初源的な場所のイメージである。もちろんそれを建築化するには、何らかの物質によって「箱」を構築しなければいけない。「箱」を場所化するには、物質を可能な限り少なく、かつ効率的に使う必要がある。「箱の家シリーズ」はそのような試みとしてスタートした。
 初期の「箱の家」では、都市住宅としての最低限の性能を最小限の物質によって達成することを目指した。それは必然的にデザインの「標準化」をもたらした。シリーズを展開するにつれて、性能は徐々にレベルアップし、それに平行して構築技術も洗練され「多様化」していった。最近では性能はさらに高度化し、単一住戸から集合化へと向かっている。
 「箱の家シリーズ」の一つの目標が、性能の高度化にあったことは確かである。しかしそれは最終的な目標ではない。性能の追求は新しい空間を発見する手段である。そのために時代錯誤を承知の上で、あえてモダニズム教義である標準化と多様化というプロセスを踏んできた。次のステップは「箱の家」の「サスティナブル化」だが、それはこのプロセスの延長上に展開されるはずである。

難波和彦

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 撮影:ナカサ・アンド・パートナーズ
講演会 : 難波和彦講演会「箱」の構築
      6月23日 建築会館ホール


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