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石山修武

近況報告 1999−2001

「開放系技術世界」

第1期 「再生」1999年12月 4日〜12月22日
第2期 「流動」2000年 1月11日〜 1月29日
第3期 「混沌」2000年 2月 1日〜 2月19日

scene 1
 撮影:ナカサ・アンド・パートナーズ
scene 2 scene 3
我ながら仕事の全体が混沌としている。四半世紀も昔に考えていたことが再び鎌首をもたげたり、北で計画したことが南で実現したりで何処に筋道が通っているのかが分かりにくい。それで一度全体が見渡せるような展覧会をまとめたいと考えた。1986年にギャラリー・間で「技術の万華鏡」と題した展覧会を開催したが、相変わらず今のわたしも技術観を中心にしてさまざまな仕事を組み立てている。しかしその様相は、「万華鏡」と呼べるほど秩序立った世界を映し出しているわけではない。ますます速度を増しながら混迷に拍車をかけている。
「開放系技術」の構築が混迷の只中のか細い径だ。高度資本主義市場では技術は個々の人間の内にではなく、外に巨大化され集約し流動を続けている。しかし情報伝達技術の進歩は、巨大に管理された市場の個別化、多様化へも力を行使し始めている。大量生産、大量消費への技術の進歩が同時にそのシステムそのものを解体し始めているのだ。
展覧会の通低音である「開放系技術」とは、分かりやすく言えば今流行のガーデニングの先には新しい世界が垣間見えるぞ、ということだ。自分の庭を自分で考え、自分で作れるのならば、自分たちの環境は自分たちで作る方が良いのだ、そのためにこそさまざまに技術が意図され組み立て直されるべきだと言おうとしている。「ひろしまハウスINカンボジア」も「世田谷村」もさまざまな形で散在する計画案も、すべて一皮むけばそんな理屈が横たわっている。耳を傾けていただきたい。
ところでせっかく1999年から2000年という分かりやすい時期に展覧会をやるのだから、その時間の表情を出せたらとも考えた。20世紀末の只中である。一回きりの同じ展示では刻々と時代が変わるテンションは表現できない。展示も刻々と世紀末をカウントダウンさせる。それで展示も刻々と変化させる。大まかには再生、流動、混沌の三段階に分けて、展示は刻々と時を刻む。
石山修武


講演会 : 石山修武講演会「開放系技術世界」
      12月13日 草月ホール
報告会 : 「石山修武 近況を語る」
      第1回12月22日・第2回 1月25日・第3回 2月18日
      健保会館はあといん乃木坂2F


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