ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
無限の塔
1989年計画
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「無限の塔」は、デファンス地区のグラン・アルシュにほど近い場所に建つ予定である。このプロジェクトで私は、「美学の支配における限界」という形而上学的問題を追求した。その表現として、このタワーは二重の消失−−一方はベース部分の地面への消失、そしてもう一方は空に向かって伸びるにつれてその質感を失っていくという消失—という手法を用いている。建物は石のように暗いベース部分から始まり、高度を増すにつれて軽い質感を感じさせる。基盤部分の荒削りの黒御影石が磨かれたものに代わり、次第にグレイストーンへ、そして銀色のモティーフで刻印されたガラスへと変化していく。この刻印も次第に密度を増し、頂上付近では鏡となって空と一体化する。消失のイメージは構造によっても喚起され、上部階にいくほど細く軽い構造となって次第に空へ溶け込んでいく。
(藤塚光政撮影)
前展覧会:リュミエール −光− (1995)
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