ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
黒川雅之

家具住居

1971/1995年
作品写真
(藤塚光政撮影)

僕が建築をはじめた1960年代は、建築を根源から問い直そうとする最初の時代であったように思う。
近代以後、建築が様々な領域に解体されて、環境の総体としての意味をなくしてきたという事実と、当時、都市及び産業化という建築の意味を変えかねない新しい二つの概念の登場によって、これまでの建築がその意味を変貌させていく予感が僕の中を占めていた。
「家具住居」は、60年代後半から僕の中に準備されてきた建築の意味の再構築の一つの顕在化であると同時に、その後の僕の仕事の方向を暗示していたように思う。
この計画は建築をシェルターという土木的なものと住居の機能的なものを複合した巨大家具に分解、再構築しようとする試みである。
これ以後、僕の中では家具も道具も小さな建築としての意味を持ちはじめ、都市の住宅と椅子が同じ意味を持つことを確信する、その出発点となった。
この模型は、「家具住居1971」の¥995年に於ける再提案によるものである。


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