ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
喜多俊之

Saruyama

1967年創作・1990年発表
作品写真
(藤塚光政撮影)

私の仕事に対する原点は基本的には自然の現象と思っている。それは、幼い頃より何となくそう思う様になって、いつの間にか現在に至っている。ロジカルでしっかりと時を刻むことに逆らうことは出来ない。座る、寝転ぶ、といった動作は人間の基本的な生活動作である。私達現代人の生活環境が変わったとしても、この様な基本的な動作は変わらない。「SARUYAMA」と名付けたこのソファーは、この様な考えを元に人々の自由な動きに対応し、体を支えるものとして1967年に考案したものである。このソファーは座るだけでなく、靴を脱いでソファーの上に上がることが出来、また、3つに分かれたブロックを組み合わせて使うことが出来る。このソファーには定まった形式のラインが存在しない。今、私の思う場所を探すことが出来る。現在、何となくマニュアルと化してしまった生活環境を考えるとき、もう一度生活のアイデンティティとは何であったかを考えてもよい。SARUYAMAは1990年にイタリア・モローゾ社から製品化、発表されている。


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