ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
ジョ・ソンヨン

Enclosing:House at Hapjong / Yangjae 287.3

1987/1992年
作品写真
我々は常々、古く伝統的な都市の住宅に見られる「エンクロージング(壁・塀などの囲い)」を始めとする空間の特性に興味を持ち、これを研究してきた。空間を物理的に囲う、つまりエンクローズする目的とは、中に住む人のアイデンティティを明確にし、これを保護することである。このように個人の領域に定義されることで、その住人あるいは家族が囲いを越えたとき、公共の領域に向けて自分の活動範囲を拡大するという経験を得る。空間を囲ってしまうからこそ、日光や空の雲、風や雨や雷の音に代表される外部環境と室内との間に、連続性やつながりが生まれるのだ。だから、建築の設計において、エンクロージングは重要な意味をもつ。この考え方が、まずハプジョンの住宅で具現化された。以来、この作品は私の指針となり、ヤンジャエ287.3番地の住宅に引き継がれている。
(藤塚光政撮影)

前展覧会:マダンの思想 (1989)
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