世界中にTOTOファンを増やしていく



創立者の志を原点に

TOTOグループでは、初代社長から二代目社長に送られた書簡の中に記された言葉が、今日まで「先人の言葉」として大切にされています。「どうしても親切が第一」という言葉から始まる「先人の言葉」は、良品の供給、需要家の満足こそが掴むべき実体で、その実体を握り得れば、結果として報酬という影が映るという考え方であり、社長として経営の根幹に置かなければならないものです。そして、この志を原点として、一世紀にわたって受け継がれていることはTOTOグループにとっての大きな財産です。
 時代が変化する中で、常に新しい技術やより良いものづくりに挑戦し、そして、使っていただいたお客様に期待以上の満足をしていただくという考え方に一点の曇りもあってはなりません。TOTOの商品は長く使用されるものが多いため、何か不具合があったときにはお客様に寄り添って対応するアフターサービスも大切にしています。
 ものづくりからアフターフォローまでのすべてが、TOTOブランドをつくっています。それは揺るぎのないもので、TOTOグループ全員の想いであり、この想いを未来に引き継ぎ、世界中に「水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化の創造」を実現することこそが経営者としての私の使命だと考えています。

TOTOグループの強み

TOTOグループは、日本で下水道の概念さえ一般的ではなかった時代に、腰掛式水洗便器の製造を開始しました。以来、日本の多くの家庭に普及しているウォシュレットをはじめとしたさまざまな水まわり商品を生み出し、新たな生活文化を創造し続けています。
 「デザインと機能の高度な融合」や「独自の技術による新たな価値創造」、「高度な生産技術とグローバルな供給体制」そして「高品質な商品とサービスの提供」は、100年という長い歴史における挑戦と革新で培ったTOTOグループの強みです。
 TOTOグループは、「きれい除菌水」や「トルネード洗浄」、「セフィオンテクト」といった独自の技術を創造してきましたが、必ずしも優れた技術だけが商品の価値ではなく、デザインも人の気持ちを豊かにし、生活に彩りを加えられる大きな要素であると考えています。デザインと機能を高度に融合させるための挑戦と革新を続けてきたことによって、生産技術も向上し、グローバルでの量産化が可能となったように、それぞれの要素は相互に関係し合ってTOTOグループの強みとなっています。
 また、私たちが恵まれているのは、自分たちも消費者の一人であるということです。お客様が困っていることを理解しやすい環境にあります。だからこそ、お客様の立場に立って物事を考えられる。ここにも「どうしても親切が第一」という言葉が生きています。私は“親切”という言葉を、よく社員に説明します。「親」には、親しみを込めるという意味と、「切」には、刃物を肌にあてるがごとく傍らに寄り添うという意味があり、まさにそれこそが歩むべき道です。お客様に寄り添い、気持ちを感じ取る力は、「高品質な商品とサービスの提供」という強みにつながっています。これらの強みをさらに磨き上げるための挑戦と革新に終わりはありません。

人の生活を豊かにする会社でありたい

社会の変化は非常に激しく、TOTOグループを取り巻く環境も常に変化しています。特に、AI やIoTなどの技術革新は急速に進化しており、商品開発や生産現場など、さまざまな業務におけるツールとして活用し、効率化を図っていくことは非常に重要です。一方で、私たちが大切にしているのは「人の生活を豊かにする会社でありたい」ということです。もちろんお客様に提供する商品やサービスについて、AIやIoTなどを活用した効率性は求めていきますが、効率性だけを優先し、人間らしさを失った商品は提供したくありません。親子や夫婦の絆、ゆとり、癒しといった人にしか感じることができない意識や感情があります。トイレは、きれいで快適な空間であってほしいですし、キッチンは料理とコミュニケーションを楽しむ空間、お風呂は疲れを癒す憩いの空間であってほしい。このような人の心を大切にして、人間らしさを感じ取れるような商品やサービスを生み出す会社でありたい、人の生活を豊かにする会社でありたいと考えています。
 「豊かな生活を送りたい」という願いは、年齢・性別・国や地域が違っても共通です。高齢化が進んだとしても、人が豊かな生活を求める志向は途切れることはありません。TOTOの商品は、そういった豊かさを実感できるものであると自信を持っています。

決意を新たに中期経営計画「TOTO WILL2022」に取り組む

TOTOグループは、2018年度から、中期経営計画「TOTOWILL2022」をスタートさせました。“WILL”には、「We Innovate Leading Lifestyles」(わたしたちは、最上のライフスタイルを提案(革新)します)という強い意志を込めています。TOTOグループは常にお客様の期待以上の満足を提供し続ける企業でなければなりません。全社一丸となって志を高く掲げ、これまで培ってきた強みを活かし、あらゆる変化を乗り越え、目指す姿の実現に向けて取り組んでいきます。
 中期経営計画の初年度を振り返ってみますと、売上高5,860億円、営業利益40億円で減収減益という厳しい結果となりました。また、重要な経営指標として掲げているROAは7.1%、ROEは9.6%となりました。
 主な要因としては、中国市場の変化に対する対応の遅れや衛生陶器の供給問題、また原材料が高騰したことに加えて、新工場の稼働、販売強化、賃金・処遇改善などの積極的な投資を行った点があげられます。中期経営計画の初年度としては、厳しいスタートとなりましたが、現状の足らざるところはしっかりと見えてきました。2019年度は、課題に謙虚に取り組むリスタートの年としていきます。

世界中にTOTOファンを増やしていく

日本住設事業では、リモデル事業の次のステージとして「あんしんリモデル戦略」を推進しています。2018年4月に発表した「リモデルあんしん宣言」は、リモデルに“あんしん”をプラスして、全社一丸となってリフォーム市場を活性化していくという意思表明です。従来は、踏み込みにくかった費用や施工に関する「わからない」というお客様の不安に対し、安心してリフォームできるような環境をつくっていこうというのが「あんしんリモデル」の原点です。短期的な利益やシェアを追うのではなく、長い時間をかけて信頼を確かなものとして積み重ね、リフォーム市場の質的向上と活性化を目指す活動です。地道な活動ですが、リフォーム市場を30年近くにわたり牽引してきたTOTOグループだからこそ実行できる戦略だと考えています。リフォームに関する相談窓口「リモデルサポートデスク」のメンバーには「立ち位置を絶対に間違えないように。立つ位置はTOTO 側ではなく、お客様です」といつも言っています。お客様からはさまざまなご相談をいただき、多くの方から「不安が解消され安心した」というお言葉をいただいています。まさにTOTOらしい活動になってきたと感じており、2019年度はさらに進化させます。
 グローバル住設事業全体では、「ウォシュレットグローバル戦略」を強化します。国際市場調査により、温水洗浄便座の世界市場の87%を占める6カ国・地域(日本・中国・韓国・台湾・アメリカ・ドイツ)において、ウォシュレットが販売数量ベースで世界No. 1ブランドであると認定(2018年3月)されました。また、2019年3月には累計出荷台数5,000万台を突破しました。これらの強みを効果的に訴求し、「TOTO WASHLET」ブランドを確立します。中国住設事業では、お客様のニーズを「見える化」する新しいプロジェクトを発足し、お客様に選ばれるために「商品」「価格」「流通」「プロモーション」といった、それぞれの販売基盤の再構築を行います。市場実態を正確に、そして謙虚に把握するとともに、その接点において、差別化となるお客様にとっての価値を訴求していきます。
 また、2019年3月にドイツ・フランクフルトで開催された世界最大規模の国際見本市「International Sanitary and Heating 2019(ISH2019)」に出展しました。TOTOの便器とウォシュレットによって実現する清潔機能のシナジー効果を “CLEAN” と “INNOVATION” を組み合わせた「TOTO CLEANOVATION」というメッセージによって訴求し、高い評価をいただきました。この言葉には、クリーンであることで生活を豊かにするということ、また、それをテクノロジーやイノベーションで実現していくという想いを込めています。今後も技術革新を続ける企業姿勢を積極的に発信することで、TOTOブランドの認知度向上を図っていきます。
 日本では、2030年に訪日外国人6,000万人を目標とする政府方針を受け、ホテルや公共施設などのトイレの改修や新設が進んでいます。“日本を世界のショールームに”を掲げてウォシュレットの設置を加速させ、ウォシュレットをまだ知らない多くの訪日外国人の皆様に体験していただき、快適さを実感していただくことにより、日本のトイレ文化を世界に発信していきます。

経営とCSR のさらなる一体化

世界のステークホルダーの期待や要請は変化を続けており、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」は、その象徴です。TOTOグループは豊かで快適な生活文化を求めて、さまざまな商品やサービスを提供してきました。真摯に続けてきたこの取り組みは、SDGsにもつながるものです。このような背景のもと、2017年10月に、持続的成長のために中長期的に取り組む最も重要なテーマを示す「ミッション」の見直しを行い、この「ミッション」に基づき、“きれいと快適”“環境”“人とのつながり”をマテリアリティとして設定した「TOTOグローバル環境ビジョン」を推進しています。「TOTOグローバル環境ビジョン」は、中期経営計画「TOTO WILL2022」の推進エンジンと位置付けており、経営とCSRのさらなる一体化を図り、SDGsにも貢献していきます。

強く・明るく・美しい会社を目指して

TOTOの商品は、10年、20年使われる商品がほとんどですから、10年後、20年後にまたTOTOを選んでいただくことこそが、次の100年、200年につながります。だからこそ、お客様を大切にし、人々が豊かに暮らせる良い商品を生み出していくことがメーカーとしての一番の役割であり、お客様に喜んでいただくことが、社員の誇りにつながります。そして、この想いを次世代につないでいくためにも社員の育成は重要であり、誰もがいきいきと働くことができる環境をつくることが、TOTOグループの考える働き方改革です。また、事業活動は、お客様や社員だけではなく、株主、お取引先様、そして地域社会など、さまざまなステークホルダーの皆様に支えられており、ステークホルダーの皆様との協力と共創なくしては成り立ちません。あわせて、会社が強く、誇りを持てる存在であり続けるためには自身を律する厳しさが必要であり、健全な会社であるためのガバナンスを強化しています。社内だけでなく、社外に対しても風通しをよくするために、社外取締役、社外監査役には国内外の拠点を訪問していただき、事業のすべてをオープンにしています。取締役会などの場では厳しい言葉をいただきますが、厳しい指摘をいただける方に担っていただくこと、言っていただける環境をつくることにガバナンスの意味があります。
 TOTOグループを支えてくださる多くのステークホルダーの皆様に感謝を申し上げるとともに、これからのTOTOグループに期待していただきたいと思います。

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